国際会議や結婚披露宴を裏から支える、業界のパイオニア企業

会議やイベントのサポートから、ビジネスを拡大

私たちが暮らしている社会の中で、政治や経済などジャンルを問わず日々行われているのが「会議」です。さまざまな議論を交わした上で意見を集約する。世の中に重要度の高い会議はいくつもありますが、その最たるものが、世界主要国のトップが一堂に会するサミット(先進国首脳会議)ではないでしょうか。

これまでサミットが日本で開催される度に、同時通訳の側面からサポートを行ってきたのが、今回取材した株式会社放送サービスセンターです。会議における同時通訳に限らず、幅広いビジネスを展開している放送サービスセンター。もしかすると、あなたもお世話になったことがあるかもしれません。

放送サービスセンターロゴマーク

放送サービスセンターは1964年に設立された、既に半世紀以上の歴史を誇る企業です。ホテルオークラとホテルニューオータニにおいて、音響照明システム運用を請け負ったことからビジネスがスタート。現在では多くのホテルが、会議用スペースやバンケットルームの音響や照明を専門業者へ委託していますが、このビジネスモデルを構築したのが放送サービスセンターでした。

こうして多くのホテルと契約を結んでいくのと並行して進めていたのが、同時通訳システムの運用です。ホテルなどで行われる国際会議の場で、同時通訳システムを取り入れた会議ができないものかという依頼が外務省からあったことから、このシステムを日本無線株式会社と共同で開発。サミットのニュース映像などで、円卓の上に設置されている会議専用マイクや同時通訳レシーバーを見たことのある人もいるかもしれません。

同時通訳システムのマイクセット

1979年に東京で初めて行われたサミットでの放送サービスセンターによる同時通訳システムの運用で、国内で知られる存在となりました。

そして現在、音響照明映像システムの運用に関しては、ホテルオークラ東京やパーク ハイアット 東京といった有名ホテルに加え、東京国際フォーラムやパシフィコ横浜などの国際会議場やホールなどから会議音響分野を中心に業務を受託。また同時通訳システムに関しても、国内で行われたサミットやIMF(国際通貨基金)世界銀行年次総会やAPEC(アジア太平洋経済協力会議)といった主要な政府会議や民間会議を担当してきました。

さらにこれらのノウハウを生かして、各種コンサートやディナーショー、冠婚葬祭などの式典、スポーツイベントなどのイベント音響についてもオペレーションを提供しています。

PA音響機器イメージ

披露宴の演出で、ハードルの高い要望にも対応

ホテル部門での業務について、現場で働いている社員の方にも話を聞いてみました。
入社2年目の清水亮太さんは、現在都内有名ホテルに常駐し、音響・照明・映像のオペレーターとして働いています。

ホテル事業部 清水亮太さん

コンサートの音響ブースでよく見かけるような、スタッフジャンパーを着た人を想像していましたが、意外にも清水さんはパリッとしたスーツ姿。いつもスーツでお仕事をされるのでしょうか?

「はい。ホテルという場所柄、お客様に失礼のないように我々もスーツスタイルの制服で仕事に臨んでいます」

そんな清水さんは、どうして放送サービスセンターに就職したのでしょうか。

「もともと音楽に興味があったことから、専門学校で音響について学んでいました。そして就職活動という時期になり、就活サイトに登録して出会ったのがこの会社だったんです」

音響機器を操作する

最初は「ちょっと固い名前の会社だなぁ」と思ったという清水さん。ただ、研修を終えて実際にホテルへと配属になってからは、そうした固いイメージが、徐々に会社に対する信頼感へと変わっていったそうです。

「仕事ではホテルの方と一緒に、お客様との打ち合わせに臨むこともあります。お客様となるのは、会議を行う企業の方や結婚披露宴を控えたカップルの方など、実にさまざまですね」

お客様からはいろいろなオーダーがあるのではないでしょうか。特に結婚披露宴では、新郎新婦から「こんなことをやりたい!」といった要望がたくさん寄せられるような気もしますが。

「もちろんハードルの高いご要望もたくさんいただきますよ。ただ、そうしたご要望にはできる限りお答えしたいので、試行錯誤しながら取り組んでいます」

そうやって新郎新婦が想い描いた素敵な披露宴が実現すれば、「自分もここで式を挙げたい」と考える人が増え、新たなお客様にもつながっていくことになるのだそうです。

先輩に披露宴の進行を確認

常に新しい技術を学ぶ姿勢が重要

そんな清水さんにとっての、印象深いお仕事とはどんなものだったのでしょうか?

「2016年末に行った、ホテルのカウントダウンイベントですね。LEDを使った凝った照明や、プロジェクションマッピングを使った演出に挑戦したんです。当時の自分たちの技術では対応しきれない部分もあったのですが、メンバー全員で工夫を重ねて、なんとか成功に導くことができました」

照明機器のメンテナンス

準備にも時間を要し、前日は徹夜で作業をして作り上げた演出。イベント自体は、ほんの数時間のことでしたが、長い時間をかけて取り組んだことで、清水さん自身の経験値も大きく上がったそうです。
イベントが無事に終了し、ホテルの人から「来年もよろしくお願いします」と言われたときは、本当にうれしかったですねと、笑顔で語ってくれました。

笑顔から一転、真剣な顔つきになり「ただ」と、言葉をつなぐ清水さん。

「今年と同じことは、来年はできないわけです。この仕事では常に新しいことが求められます。そういう意味では仕事を離れた場でも常にアンテナを張って、世の中のトレンドを気にするようにしています」

テレビの歌番組などの見方も、ずいぶん変わったそうです。また、もともと音楽や映像が好きだったこともあり、仕事と趣味が上手くつながっていることも仕事のやりがいとのことでした。

清水さんは、今後のキャリアについてはどのように考えているのでしょうか?

「今のところは、現在の部署でスキルアップすることしか考えていません。私自身は音響について学校で学んできましたが、映像や照明に関しては、ほぼ知識がゼロのところからスタートしています。だからもっと知識と経験を身につけたいですね」

披露宴会場で音響機器を操作

また音響・映像・照明などの分野は、技術の進歩が激しい分野。前述のプロジェクションマッピングはもちろん、新たな手法がどんどん取り入れられています。だからこそ、ずっと勉強が必要だと語る清水さん。そういう意味では向上心のある人がこの職場には向いているのではないか、とも語ってくれました。

年間2,000件を担当する、同時通訳の分野のパイオニア

同時通訳部門の業務のことや放送サービスセンターの今とこれからについて、専務取締役の南﨑康貴さんにお話を伺いました。

専務取締役 南﨑康貴氏

「放送サービスセンターはホテルの音響サービスからスタートして、会議運営に関するアドバイスなどのサポートも含め、会議やウェディング、イベントのオペレーションでビジネスを拡大させてきました。そして会議をサポートする中で同時通訳に関するニーズが高まり、この分野のパイオニアとなっていきました」

現在は16施設のホテルやホールなどと契約を結んで運用を担当するほか、会議の同時通訳の業務だけでも年間2,000件の依頼があるとのこと。こうした企業からの高い信頼は、どこからくるのでしょうか。

「やはり経験値の高さだと思います。たとえばサミットのように重要度の高い会議になればなるほど、かなり前から周到な準備が必要になる一方で、直前になっての変更といったことも増えていきます。また大臣クラスの会議が急遽セッティングされるといったことも。『予測不能な状況』のように見えますが、これまでの経験があるので、どんな状況にも対応できる体制を整えられる。それが、同業他社にはない、我が社のアドバンテージだと思います」

同時通訳に限らず、ホテルやエンターテインメントの分野でもそうした経験値が役立っているに違いありません。

放送サービスセンターの本社オフィス

では放送サービスセンターで働く魅力は何でしょうか?

「ホテルにしても会議にしても、私たちは裏方として支える立場です。けれども会議などを成功させる喜びに携われるというのは、この仕事ならではのやりがい。そこに喜びを見出せる人にこそ、来てもらいたいですね」

またサミットの会場など、普通では足を踏み入れることができない場所に行ける点も魅力なのだそうです。

自身が成長することで、「価値ある存在」に

サミットなどでの同時通訳システムを任されるなど、この分野のオーソリティともいえる放送サービスセンターですが、ビジネスにおける課題はあるのでしょうか。

「課題はもちろんあると思っています。移り変わりの激しい世界ですし、その速度に乗っていかなくてはいけません。それにはまず、自分たちから変化していくことが重要です」

南﨑さんインタビューショット

たとえば通訳の世界でいうなら、AI(人工知能)による同時通訳が、専門スタッフに取って代わる日が来るかもしれません。また会議自体もネットなどを通じて行うことで、一堂に会して行うことがなくなるかもしれません。
とはいうものの、現状では専門用語が飛び交う企業での会議の同時通訳をいきなりAIが行うことは難しいし、ネット会議が当たり前という世の中は、まだまだ先の話のような気がしますが…。

「ただ、そうした時代が来ないとは言えません。なにより社内の簡単な会議ならネットで十分ということになるかもしれないし、その際の同時通訳はスマホのアプリが行うという日が来るかもしれないわけです。それなら、そうした時代にも対応できるような体制は整えていきたいと思っています」

たとえば同時通訳のアプリを作るという企業があれば、放送サービスセンターが培ってきた多くのノウハウを生かしてそこに参画したい、と南﨑さんは語ります。

またホテル部門での業務に関しても、音響や映像、照明がより密接にリンクした形での演出などを行っていきたいそうです。

「そういう意味で、我々が欲しているのは新しいことに挑戦する気持ちのある人材ですね。既存のビジネスであるホテルでの演出や同時通訳、エンターテインメントの部分に魅力を感じる人はもちろん、そうした私たちのポテンシャルを生かして、まったく新しいビジネスに取り組みたいと思うような人にも、ぜひ来てもらいたいと思っています」

社是と日本政府から贈られた感謝状

放送サービスセンターには「価値ある存在たれ」という社是があります。これは、仕事や家庭での経験を通して、その人自身が成長していくことそのものが価値であるということ。
自分のためだけでなく、他の人にとっても価値のある存在になれるような気持ちを、会社としても大切にしているそうです。

音響や映像に興味のある人、国際的なビジネスに携わりたい人はもちろん、可能性を試したい人にも最適な放送サービスセンター。スキルを生かすことで誰かのための価値ある存在になれる環境が整っています。

PA音響機器操作イメージ