磨き上げた加工技術とアイデアで、こだわりが詰まった封筒を提供

DMなどのオーダーメイド封筒を
企画から加工まで一貫してサポート

今回の取材先は、受け取った人がワクワクする封筒づくりを得意とする「株式会社太陽堂封筒」。昭和29年創業の封筒製造の専門会社です。

本社ロゴマーク

封筒には、市販されている既成封筒と、紙の選定からデザイン、印刷、加工まで、すべてオーダーメイドで作られる別注封筒があります。太陽堂封筒が扱っているのは、この別注封筒のほう。銀行をはじめ、大手企業のDM用封筒なども手がけているので、実はみなさんの身近なところに製品があるんですよ。

パソコンやスマートフォンで手軽にメッセージをやりとりできる時代になり、手紙を封筒に入れて送ったり、受け取ったりする機会は減ってきています。しかし一方で、最近のポチ袋ブームなどを見ても、日本人には紙の文化と包む文化が根づいているのだなあと感じます。デジタル化が進む時代だからこそ、封筒においてもそのフォルムや紙の美しさ、手触りなどにこだわる人も多いのではないでしょうか。

企業が作るDM封筒もブランドイメージを重視し、人の目を引き、開けてみたくなるデザイン要素を加味する例が多くなっています。みなさんの自宅の届くDMの中に、開けた後に捨ててしまうのが惜しいと感じる封筒があったりしませんか? もしかするとそれが、太陽堂封筒で作られたものかもしれません。

太陽堂封筒の強みは、ほとんどの工程を社内で行っていること。企画から製袋まで一貫して請け負い、顧客のさまざまなニーズを一つひとつ形にしてきました。

さらに太陽堂封筒では、「中身を包み、守る」だけの用途ではなく、封筒にパッケージとしての新しい価値観をプラスしていこうとしています。すでに、神楽坂の神社で人気の水引お守りのパッケージをはじめ、おしゃれなオリジナル商品の開発につながっているとのこと。アイデアと加工技術の組み合わせで、可能性が大きく広がろうとしています。

オリジナル商品 水引お守りのパッケージ

プロフェッショナルな職人たちと
二人三脚でものづくりに挑む

地下鉄早稲田駅から徒歩3分のところにある4階建てのビルが、太陽堂封筒の本社工場です。

地下1階から2階までが工場で、3階は営業などのオフィス。オフィスには社内のアイドル犬「ケンタ」もいます。その上の4階は打合せスペースで、ランチ時には社員がお弁当を囲む食堂にもなるといいます。

太陽堂封筒のランチは少し特別。というのも、社長が社員のために毎日お味噌汁を作って振る舞ってくれるのです。なかなかないですよね、そんな会社! そしてそのランチの風景は、NHKの『サラメシ』という番組でも紹介されました。

実は『サラメシ』の放映を見て入社を決めた社員がいます。入社2年目の馬越あゆみさんです。

営業部 業務サポート 馬越あゆみさん

「たまたま番組を見て、なんて雰囲気の良い会社だろうって思いました。もともと紙の小物が好きで、ものづくりにも興味があったので、ピタリと理想にはまったんです」

馬越さんの所属は営業部。業務サポートとして、お客様から発注を受けたあとの社内業務を担当しています。たとえば資材の手配から製造現場の予定組み、印刷会社などの外注先への連絡調整やスケジュール組みなど。

「指示書を製造部に渡して、あとはおまかせというわけではありません。現場にもこまめに足を運んで進捗状況を確認したり、段ボールへの詰め方まで細かく指示することもあります」

仕様を製造現場と調整

「同じものをリピートで作っていても、毎回同じようにスムーズにいくとは限らない。色が少し違ったり、紙が反ってしまって機械を通らないということも起きる。そこにものづくりの難しさとか、奥深さを感じます」

馬越さんのお話しを聞いていると、営業職といっても、ものづくりに近いところで仕事をしていると感じます。

「ここまでものづくりに関われるとは思っていなかったので、やりがいを感じます。現場の方に助けられることもしばしば。こちらのミスで貼りづらい仕様になってしまったときも、『大丈夫、ちゃんと貼ってあげるよ』と言って、しっかり仕上げてくれた。そういうプロフェッショナルな職人さんたちと仕事をするのは楽しく、刺激になります」

自分が手がけた封筒がDMとして自宅に届いたときは、うれしくて思わず写真を撮ったとか。「この窓の透明フィルム部分に苦労したんだよ~って、家族に語っちゃいました」と楽しそうに話してくれました。

業務サポートの鍵は
現場や外注先とのコミュニケーション

業務サポートとして大事なのは、『滞りなく進めること』だと馬越さんは言います。

「現場の担当者が作業の手を止めて『これ、どういうこと?』と確認の電話をしなくても済むようにしたい。それには事前の確認や調整が必要。特に新しい案件は気を遣います。先日も、ガゼット貼りというマチ付きの封筒を作ったのですが、初めて扱う仕様だったので、外注先や製造の担当者に、この仕様で大丈夫か、予備はどれくらいあればいいかなど、慎重に確認してからスタートしました」

お客様と電話でコミュニケーション

短納期の案件も多く、スピードが求められる仕事でもあります。外注との連携も鍵。毎日のように連絡を取り合うので、コミュニケーションは重要だとか。

「実は入社するまで、電話がすごく苦手だったんです。でも社会人になったら、毎日、電話。そうやって鍛えられたおかげで、今では談笑しながら、さりげなく無理なお願いもできるようになりました(笑)。自分でも変わったなあってびっくり」

ふだんはリピートの案件が多いそうですが、新しい案件にゼロから携わるケースも増えてきたといいます。

「お客様がイメージしているもの、求めているものを的確につかみ、それに合った紙をご提案したり、サンプルをお見せしたりします。予算を考慮し、紙やテープはこちらの方がいいのではと提案することも。見積もりや紙の発注などすべての工程に関われるので、おもしろいですね」

封筒の見本を作る

太陽堂封筒では、一般的な封筒だけでなく、ポチ袋や水引お守りのパッケージなども手がけています。「水引お守りのパッケージは、私の前任者が提案して作ったもの。私も将来、こういう新しいものを提案してみたいですね」と馬越さん。そのためにもっと紙についての知識を蓄え、DTPの勉強もしていきたいのだと力強く語ってくれました。

アイドル犬「ケンタ」と一緒に

難しい加工にも妥協しない。
太陽堂封筒として恥ずかしくない品質を

次に、製造部で活躍中の社員にも話を聞こうと、下の階の工場へ。地下1階、1階、2階の工場フロアにはいろいろな機械が並び、小気味よい音が響いています。

製造部 マネージャー 石田勝さん

話を聞いたのは、2011年に中途入社した石田 勝さん。別の封筒の製造メーカーで5年ほど経験を積み、太陽堂封筒へ転職してきたそうです。現在はマネージャーとして全体をフォローしつつ、主にエキセンという機械のオペレーターとして型抜きの作業を担当しています。

エキセンとは聞き慣れない名前ですが、封筒を開いた時の形に型抜きする機械のことです。封筒製作では、最初に、社名などが印刷された大きな紙を封筒のサイズに断裁。次にエキセンで型抜きの作業を行います。そのあと封筒の窓部分にフィルムなどを貼り、最終的に機械で封筒の形に折っていくのです。

エキセン抜きの作業

オペレーターという仕事の醍醐味はなんでしょうか?

「出来上がってきた品物が、太陽堂封筒として出す品質レベルに達していないとき、どこを直せばいいのか考える。納期というプレッシャーもかかるなかで、ようやく問題のポイントを見つけて、解決した!という瞬間の気持ちよさは格別です」

微妙な調整に丸一日かかることもあるとか。紙の知識や機械のクセ、さらに経験値を総動員して答えを探る。それでも無理なときは仲間の知恵を借りる。ときには営業も一緒に解決策を考える。そんな総合力が太陽堂封筒の強みだと石田さんは語ってくれました。

オーダーメイドで作るため、サイズや紙質、デザインの指定はいろいろ。一つの封筒に窓が3つも4つもついていたり、封筒のサイズぎりぎりまで窓にしたいというオーダーもあると言います。

回ってきた発注依頼を見て「できないよ、これは~」と思うことはありませんか?

「ありますねえ(笑)。でも『できない』とは言いたくないんです。お客様が望んでいる形であれば、その要求に応えたい。答えを見つけなきゃいけない。だから、かなり難しいなと思っても、『テストさせてください』って言います」

それはまさに職人としてのプライド。「別注封筒を扱う太陽堂封筒として、他社にできないものを提供するというところを強みとして持っていたい」と石田さんは話してくれました。

出来上がりを確認

社員の一体感が仕事のやりやすさにつながっている

製造部のメンバーは上は60代から下は20代まで。でも年齢差はあまり感じないそうです。マネージャーの石田さんも、教えるというより、みんなのお手伝いがしたいと考えているとか。

後輩を優しく指導

「前の会社では、それぞれが個々に仕事をしている感じでした。でも太陽堂封筒では、オペレーターたちが一つの輪になっていると感じます。年末や年度末は封筒製作の注文が集中する時期ですが、そういうときも『早く終わらせて飲みに行くよ!』と声をかけながら乗り切る(笑)。自然と連帯感が生まれますね」

工程の中で好きなのは、高速回転の機械から、封筒一枚一枚が完成品になって出てくるところだとか。「機械の音が、聞いていてとても気持ちいいんですよ」と、にっこり。毎日仕事が終わると簡単に掃除をし、「今日もありがとう」と心の中で機械に声をかけているという石田さん。機械が好きというのが伝わってきます。

会社としても週1回は、一斉清掃の時間が設けられています。世界中の企業や工場で実践されている「ポルフ(PPORF)」という工程改善プログラムに取り組んでいます。これは、社員同士で課題や改善策を話し合う中から生まれた取り組みのひとつです。そうした取り組みにより、職場環境も品質もどんどんUP。「生産性は数字でも確認できるし、働いていても変化がわかりますよ」と石田さんは話してくれました。

断裁作業

最後に、営業の馬越さんが入社するきっかけとなったランチについて話を聞くと、「社長の手作りのお味噌汁が毎日楽しみ!」と思わず顔がほころんだ石田さん。そして「一緒にお昼を食べるから、みんな本当に仲がいいんです」と教えてくれました。

ランチタイムが作り出す社内の一体感。その関係性があるから、営業も製造もお互いに困ったときはすぐに対応しあうことができるんだなと感じました。

「一緒にものを作っているという雰囲気がありますね。ランチのおしゃべりから自然といろいろな情報が入ってくるし、いいものを作るために必要な時間だと思います」

アットホームな雰囲気の中にプロフェッショナルな職人気質が根づいている会社なのだと感じました。今後、太陽堂封筒という会社が、封筒、あるいはパッケージというジャンルでどんな挑戦をしてくれるんだろう。そんな楽しみが生まれた取材でした。

創業時の看板を持って記念撮影